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Anti Patterns(JP)

EDP教員陣が執筆した『エンジニアのためのデザイン思考入門』(翔泳社)には「付録A」に「EDPで陥るワナ」が掲載されています。(以下、本からの抜粋)

本文にまとめたようなさまざまな手法や考え方のレクチャーを受けながらEDP受講生は活動していくわけですが、実際のところなかなかうまくはいかないものです。何年かやっていると、活動の中で受講生が陥りがちなワナのようなものも見えてきました。ここでは、そんな「EDPあるある」を紹介したいと思います。

エンジニアのためのデザイン思考入門, pp267

ここでは、こうしたワナの一覧と、それぞれの解決策の概要を記載しておきます。本にはもっと詳しく書いてあるので、よかったら読んでみてね!

1 ユーザーリサーチでのワナ

1.1 ユーザーリサーチの記録が箇条書き

最低限、相手が話したとおりに記録しよう。それができたら、感情も含めて「物語」として全体を理解するようにしよう。

1.2 ユーザーリサーチ結果が「予想どおりでした!」

意識していないと想定外のことには気づけない。何度も場数をこなそう。

1.3 上司など利害関係者がいるところでインタビュー

インタビュー相手がリラックスできる環境を設定しよう。

1.4 テーマが広すぎて方向性が定まらない

とりあえず取り組むための範囲を限定しよう。

1.5 テーマに個人として共感できない

実際にプロトタイプを使ってもらえれば、きっと「うれしい」と思えるはず。

1.6 インタビュー相手が何にも困っていない

自分から「困っている」とは言ってくれない。仮説を立てて検証しよう。

2 アイディア想像でのワナ

2.1 座ったまま議論する

「立つ」ことから、いろんな行動が始まるよ。

2.2 人のアイデアを最後まで聞かず否定する

「人を批判できるほど自分は立派なものではない」ことを忘れずに。

2.3 ひとつのアイデアに固執してしまう

誰もが賛成するアイデアはおもしろくない。思い切ってアイデアを捨ててみれば、大きく飛躍できるかも?

2.4 アイデアを簡単に手放す

ストーリーやプロダクトまで考えていけば、意外といいアイデアかもよ?

2.5 アイデアが課題に対して間接的

直接的に取り組んだほうが、いい結果が得られやすい。

3 プロトタイピングとユーザーテストでのワナ

3.1 作らないで議論しすぎる

完ぺきになるまで作らない、という思い込みを捨てよう。

3.2 作ったモノが「普通に便利」

初見のユーザーが「なにこれ?」と思うほうが、いいアイデアになりやすい。

3.3 LED最強説

確かに光ると楽しいけど、その他にも機構を入れてほしい。

3.4 ついメカを作り込んで安心してしまう

モノだけじゃなくて、コト(体験、物語)にもフォーカスしよう。

3.5 外見をおろそかにする

機能重視のプロダクト(ファンクショナルプロトタイプ)と、外見重視のプロダクト(モックアップ)の両方を作ったほうがいいですね。

3.6 ユーザーの声を聞きすぎる

「私」と「ユーザー」のバランスを取ることが必要。どちらかに偏ってるのはダメ。圧倒的当事者意識を持とう。

4 全体的な取り組みのワナ

4.1 議論し尽くした停滞感

チームの空気を入れ替えよう。他のチームからゲストを招いてみては?

4.2 相手のバックグラウンドを理解しない

「美大生」や「東工大生」や「社会人」のような勝手な思い込みを作らずに、「ひとりの人間」として接してみましょう。

4.3 チームメンバーの専門性を尊重して口出ししない

「専門外だからこそ気付けること」があります。わからないことや提案があれば、積極的に口を挟んでいきましょう。

4.4 いつもファシリテータ役が同じ

ファシリテーターを自らやめるのは、けっこう難しいです。まだファシリテーターをやっていないあなたが「次は俺がファシリテーターやる!」と立候補しましょう。

4.5 チームの主導権争いをする

「チーム全体のリーダー」は不要です。それぞれの得意な領域でリーダーシップを発揮しましょう。

4.6 誰もタスクの整理をしない

作業範囲はできるだけ小さく保ち、2週間以内に完了できるようにしておきましょう。

4.7 プレゼンでだけ意義があるようにふるまう

期間中に何も成果をあげられずにプレゼンしようとすると、インターネットで調べてきた内容をそのまま発表するチームがいます(それは「調べ学習」!)。あるいは、とりあえずユーザーテストはやったけど「こんな結果が出ました」とだけ発表して、そこから何を学んだのか、次に何をするのかが不明確なチームもいます。結局、圧倒的当事者意識を持っているかどうかだと思います。あなた自身が、どんなインサイトの仮説に賭けて、誰のどんな体験を創造しようとしているのでしょうか。その創造に向けたチーム活動の七転八倒を、プレゼンでは赤裸々に語り合っていきたいですね。